巨大IT企業の取引を巡り、経済産業省は米アップルとアマゾンジャパンに対し、問題行為の是正を求める方針を固めた。アップルが10月に行ったアプリ価格の値上げについて、アプリ会社に通知してから実施までの期間が短かったとし、十分な準備期間を設けるよう求める。アマゾンには、インターネット通販で出店者との取引を停止した際の説明や苦情への対応が十分でないとして改善を促す。

【図表】ひと目でわかる巨大ITの評価書案のポイント
 2021年に施行された「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律(透明化法)」に基づき、巨大ITの取引に問題がないか、経産省が調査していた。有識者会議の意見を踏まえた経産相の評価書案を近く公表し、2社を名指しして問題点を指摘する。評価書を出すのは透明化法施行後、初めて。是正要求に強制力はないが、政府として自主的な改善を求める。
 評価書案では、アップルのアプリ値上げについて、「条件変更は十分な準備期間を設ける必要がある」などと指摘する。今回の値上げは9月19日に発表し、10月5日に実施された。アップルのiPhone(アイフォーン)などにアプリを提供する会社は、アップルが値上げを決めたらシステム変更などの対応をしなければならない。アプリ会社側からは、値上げの通知から実施までの期間が短すぎるとして「最低でも1、2か月ほしい」といった不満の声が相次いでいた。説明が十分でないとの声もあり、評価書案は「変更内容や理由をわかりやすく説明する必要がある」と改善を促す。
 アマゾンについては、ネット通販で出店者との取引を停止した際、判断の理由が十分に説明されず、出店者が対応に苦慮した例があったという。評価書案では出店者への説明や対応を改善するように求める。アマゾンジャパンに寄せられた苦情は2021年度に約5・7万件に上った。
 一方、アップルは21年度に受け付けた苦情が3件と少なく、苦情を申し立てるサイトが十分に知られていない可能性もあるとして、認知度を高めるように促す。

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