https://www.townnews.co.jp/0108/2022/11/03/649282.html

国内唯一研究拠点
中外製薬施設が竣工
見学会に戸塚区民2千人

戸塚町と上倉田町の日立製作所跡地で工事が進んでいた、中外製薬(株)の国内唯一の創薬研究拠点「中外ライフサイエンスパーク横浜」が10月15日、竣工した。23日には戸塚区民を招いた竣工記念見学会が行われ、2000人が来場。関心の高さをうかがわせた。

 2019年から中外製薬は、15万8600平方メートルの敷地に同施設の工事を開始。柏尾川を挟んで西側(戸塚町)に実験棟・研究者の居室棟など7棟、東側(上倉田町)に研究棟、福利厚生棟など9棟を設置した。異分野の研究者の活発なコミュニケーションを促すため、西側には”スパイン”と呼ばれる300mの通路を開設。実験室と食堂など行き来する際に、気軽に交流が図れるという。AI、ロボット技術を駆使して実験のオートメーション化にも取り組む施設の総投資額は1718億円。来年4月から約1000人の従業員が本格的に勤務する予定だ。

「地域との共生」めざす

 「地域との共生」を掲げてきた同社では、周辺環境に溶け込むような外観デザインや、グラウンドの貸し出し・緑道の開放などを計画に盛り込んできた。敷地内に2つの公園を設置し、横浜市に提供するほか(一つは昨年提供済み)、小中高生向けの実験室「バイオラボ」も併設。災害時には地域防災拠点として建物内の一部も開放予定だ。

 18日には関係者を招いた竣工式、20日にメディア向け見学会、23日には住民向けの見学会を開催した。当日は約2000人の戸塚区民が訪れ、ツアー形式で実験室や通路、食堂などを見学した。参加した戸塚町在住の鈴木洋一さん(66)は「地域との関わりがどうなるのかやはり気になる。グローバルな企業がよく来てくれた」と歓迎した。上倉田町在住の女性(17)は「これまで戸塚を象徴するようなものがなかったので、この施設でまちが活性化してくれたら」と話していた。

 同社の飯倉仁研究本部長は「見学会を通じて住民の方々の注目の高さに改めて身が引き締まる思い。愛され、信頼される研究所となるよう努力していきたい」と話す。また、奥田修社長は地域に向けて「戸塚は研究者にとって魅力的な地。近隣住民の方々に寄り添い、役立つ施設の整備や活動を行うことで、地域への貢献を目指していく」とメッセージを送った。