差別のない世界を目指そうというかけ声は立派だが、現実は厳しい。何十年か先の未来にはそういった世の中になっているかもしれないが、今日、明日を生きていく自分たちにとっては、厳然と存在する違いを受け入れざるを得ない。ましてやそれが、何か強い信念のもとではなく、人よりかっこよく、強く見えるようにしたいからという若いときの見栄が動機だとしたら、差別反対と声高に叫ぶのも憚られるというものだ。ライターの森鷹久氏が、2010年頃のオラオラ系ブームにのって和彫りの入れ墨をいれた人たちのその後についてレポートする。

【写真】20年前の三社祭
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「こんなに早く後悔することになるとは思いませんでした…。何をするにも困りますし……」

 埼玉県在住で、都内の不動産店に勤務する町田稜さん(仮名・20代)は、ややふっくらとしたスーツ姿に穏やかそうな顔つきで、一見すると、どこにでもいそうなサラリーマンだ。しかし、町田さんには悩みがある。それは、17歳の時に友人や当日交際していた彼女に勧められ、背中一面、そして右肩から手首に至るまで、純日本式の「入れ墨」を入れてしまったことだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/e519945295aa13154a9e7f16f677b87762f20f41