「世界初の成功」乳児に3つの高難度手術を同時に 心臓や大動脈に先天性の疾患 長野県立こども病院

長野県安曇野市の県立こども病院は、心臓や大動脈に先天性の疾患を抱える乳児に、3つの高難度の手術を同時に実施し、成功したと発表しました。世界初のケースだということです。

ベビーカーに乗って、時折、声を上げる赤ちゃん。10カ月になる紬ちゃんです。

心臓などに生まれつきの疾患があり、安曇野市の県立こども病院に入院していました。

9月に3つの高難度の手術を同時に受け、無事に成功、あす17日、退院の日を迎えます。「成功したケースは世界で初めて」ということです。

父親:
「感謝の気持ちしなかい。(娘は)元気に笑ってくれているので、このまま元気に過ごしてほしい」

県立こども病院は16日、記者会見を開き、世界初の成功例となった手術の概要を発表しました。

紬ちゃんは、心臓の左右の心室が入れ替わる「修正大血管転位症」と、大動脈の一部が生まれつき細い「大動脈弓低形成」の2つの大きな先天性疾患を抱えていました。

修正大血管転位症には「ダブルスイッチ手術」と呼ばれる2つの手術、大動脈弓低形成には「自己心膜パッチ修復術」と呼ばれる手術が必要で、これまでは分けて手術するのが一般的でした。

しかし、県立こども病院では、紬ちゃんの成長が比較的順調だったことや、医療技術の発展などもあり、同時手術を行うと判断。

9月に12時間に及ぶ難しい手術を行い無事に成功しました。

術後の経過も順調で、このまま成長すれば運動制限もなく過ごせる見込みだということです。

竹内敬昌副院長:
「県立こども病院のすべての職種の総合的なチーム力があって達成できたと理解している。今後も心臓病に限らず、重篤な病気を持ったお子さんの治療にあたっていきたい」

病院では、今後、手術の成果を学会などでも発表したいとしています。
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