障害者が就労訓練を受けられる札幌市内の就労継続支援B型事業所で、職員が利用者に物品を要求するなどの不適切な発言をしていたことが18日、関係者への取材で判明した。

障害者福祉サービスを所管する札幌市は「不適切な対応があった」として、この民間事業所に文書で業務改善を指導。報告を求めている。

札幌市内に住む女性(44)が被害を訴え、市が調査を進めていた。女性は介護職に就いたこともあったが、
DV(家庭内暴力)などを原因に精神疾患などを患ったため、2020年からこの事業所でパソコン作業などに従事するようになった。

ところが、21年秋以降、職員から「お土産を持ってこないと事業所に入らせない」、「クリスマスプレゼントがほしい」などと要求されるようになったという。

女性は21年11月末に高級品の松阪牛の肉(400グラム、8000円)を購入。

「男性職員に手渡し、『ありがとう』と受け取った。冗談とも思えず、精神的にも経済的にも負担だった」と証言した。女性は22年8月に退所した。

事業所の男性所長は毎日新聞の取材に対し、「『高い肉を買う』と話した女性に、職員が『僕にも買ってこないと利用停止にする』と応じ、問題が生じたようだ。
発言は冗談と受け止められると思ってのことだろうが、さじ加減が難しい」と釈明した。

札幌市は調査内容を公表していないが、肉の受け取りのほか、女性を傷つける不適切な発言や対応があったと認定した模様だ。
所長は「女性に親しみを込めたところもある思うが不適切だった。申し訳ない」と謝罪した。

女性は「利用者の立場は弱く、こういうことがあると社会復帰への第一歩どころではなくなる。被害に遭う人が今後、出てほしくない」と話した。