民放とNHKを中心とした放映権交渉が暗礁に乗り上げ、日本での無料放送が一時危機に瀕したものの、ABEMA参入という意外な形で収束した。放映権料の総額などについて聞くと塚本局長は「守秘義務もあり、詳細は答えられない」とした上で「ABEMAとして過去最大の投資であることは間違いない」と述べた。

 講談社が発行する週刊誌「フライデー」は5月12日付けの記事で、ABEMAが支払った総額について、複数のテレビ局関係者の証言から200億円と推定している。

 詳細は明らかにならなかったものの、巨額投資であることは認めた塚本局長。その原資として、あのヒットゲームの存在は欠かせないという。それは、グループ会社のCygamesが手掛ける『ウマ娘 プリティーダービー』だ。

 実在する競走馬を擬人化したキャラクター「ウマ娘」を育成するという斬新な内容がユーザーの心をつかみ、21年2月のサービス開始から約7カ月で1000万ダウンロードを突破。目の肥えた競馬ファンもハマっているとされている。

 最近では文藝春秋社の雑誌「Number」とのコラボ号が、10万部を突破するなど、その勢いはとどまることを知らない。

 当然のことながら、事業の稼ぎ頭になっており、リリースした21年通期決算(20年10月~21年9月)では、ゲーム事業単体の売上高は2627億円(前期比68.6%増)、営業利益は964億円(同217.9%)。ウマ娘のヒットで、同社は1043億円の営業利益を記録した。

 22年通期決算(21年10月~22年9月)はその反動で、ゲーム事業単体の売上高は2283億円(同13.1%減)、605億円(同37.2%減)となったが、高い水準を維持している。

 塚本局長は巨額投資実現の背景に「グループとして、広告事業本部、ゲーム事業部、関連会社などの全体の後押しがあったため」とした上で「ウマ娘の影響は確実にある」と、“ウマ娘マネー”が要因の一つになったことを認めた。

https://news.yahoo.co.jp/articles/2679a8650beb0015ba7b4115843fe24b8e4a9a42?page=3