17年前のいじめ調査記録 神戸市教委が長年、隠蔽 報告書素案指摘
2022/11/28 20:29(最終更新 11/28 20:35)

 神戸市立小学校で17年前に男児が同級生から金銭を脅し取られるなどのいじめを受けた問題で、第三者による調査委員会が「市教育委員会が調査記録の存在を意図的に隠蔽(いんぺい)した」とする調査報告書の素案をまとめたことが28日、明らかになった。いじめ発覚直後に学校側が調査した記録があったが、市教委は2021年まで存在を否定していた。

 訴訟記録や被害者側によると、05~06年当時、小学生だった兵庫県内の男性(28)は複数の同級生から日常的に暴力を受けて、50万円超を脅し取られるなどした。裁判では1、2審ともいじめが認定されたが、市教委は被害者から十分な聞き取りができなかったことなどを理由に「いじめと判断できない」と主張してきた。

 だが報告書素案によると、学校は発覚直後に担任らが被害者から聞き取りをし、時系列の記録を作成していた。10年に男性側が情報公開請求した際、市教委は調査記録について「教員が作成したメモや備忘録で公文書と扱わない」との対応を決め「存在しない」と回答。市議会でもつじつまを合わせるため、市教委幹部が資料の存在を否定してきた。

 素案はいじめがあったことを認定したうえで、市教委の一連の対応について「資料の秘匿という違法行為を隠蔽するため、さらに虚偽答弁を重ねた非常に悪質な行為」と批判している。

 この問題を巡っては、学識経験者や弁護士でつくる調査委が20年に設置され、市教委や学校の対応を検証してきた。翌年、市教委は「ない」としていた調査記録を男性側に開示した。

 素案は17日にまとめられ、男性の父親(59)が28日に公開。父親は記者会見で「隠蔽に関与した市教委の職員たちが責任を問われず、出世している。組織的な隠蔽体質があった」と非難した。市教委は「最終報告書が出るまで内容についてのコメントは控える」としている。

https://mainichi.jp/articles/20221128/k00/00m/040/323000c