2030年冬季五輪の札幌への招致活動に強い逆風が吹いています。21年の東京五輪であきれるような汚職事件が明らかになり、札幌市民や国民が招致を応援できる状況にはありません。でも、僕はあえて言わせていただきます。「札幌五輪に大賛成」です。これまでも言ってきたように「ピンチはチャンス」。過去ときっぱり決別する、負のレガシーを一掃する、五輪を素晴らしいイベントに生まれ変わらせ、日本社会を再生に向かわせる絶好の機会にできると思っているからです。

もちろん、賛成するにはいくつか条件があります。最も重要なのが大会組織委員会のトップを誰に任せるか。今回は「僕が組織委会長になったら」として、札幌五輪のあり方について論じてみたいと思います。

28年ロサンゼルス夏季五輪の大会組織委員長はケイシー・ワッサーマン氏。世界中のトップアスリートたちをクライアントに持つ世界最大級の代理人事務所を創業したアントレプレナー(起業家)で、世界のスポーツシーンの中心にいるバリバリの経営者です。

彼は就任当初から「税金を使わない」と公言しており、その骨子は「新規施設をつくらず、既存施設を使い倒す」というものです。象徴的なのはメインスタジアムとなるロサンゼルス・メモリアル・コロシアムで、1932年大会、1984年大会を経て、今回で3回目のオリンピックを開催するスタジアムとなります。

交渉が本業ですので、国際オリンピック委員会(IOC)の言いなりにもなりません。先日もIOCのトーマス・バッハ会長に「人種差別に反対する発言は政治活動ではない」 と、五輪憲章の改正を求めました。保有資産は約4億ドルといわれ、経済的にも大成功を収めており、汚職をする理由も必要もありません。

日本も五輪を開催するのなら、こうした人材に任せなければなりません……という文脈から、「やっぱり日本には僕しかいないじゃん!」という無邪気な結論に至りました。恥ずかしながら筆を進めます。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODH225BF0S2A121C2000000/