「最初はコロナ禍のステイホーム時に、YouTubeをザッピングしていたら引っかかっちゃったんです。
タイトルも覚えてない作品だけど、ネタの畳み掛け方や大喜利的なネタの応酬が今っぽくて、面白かったんですよ」

 この10年ほどで「異世界転生マンガ」は最も盛り上がっているジャンルとして完全に定着した。

「小説家になろう」などの投稿サイトでも人気のジャンルが、マンガやアニメになることで、より幅広い読者を惹きつけた。

「いま、現実の世界がつらいじゃないですか。
コロナの本質的な収束は見えず、国内は低成長が続き、世界中がきな臭い。
せめてマンガの世界はストレスなく、楽しみたい。
『異世界転生マンガ』はそんな現代を生きる読者に寄り添った作風なんだと思います。
実際、子どもや若い世代だけでなく、30~40代でハマっている大人が、男女ともに多いんです」

 共感性の高い導入から、現代人がふとした拍子にまったく違う世界へと転生し、敵や障壁が立ちはだかっても、主人公は順調に成長を続け、困難も克服していく。

「読者が自己投影しやすい主人公が設定されていて、転生後に成功、勝利、結婚などの幸せを勝ち取っていくのが王道パターン。
ご都合主義と言えば確かにそうだけど、それは読者の気持ちに寄り添う優しさなんです」

石田さんおすすめ、「異世界転生マンガ」最初の3作

◆『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』山口悟 原作/ひだかなみ 作画
 交通事故で死んだ日本のオタク女子高生が、ゲームの世界の公爵家で育った高慢なお嬢様、カタリナとして転生。生き直すことでカタリナの人生を良きものに。

「魔法チートが少なく、人間関係のなかでコツコツ努力を重ねる姿が現実的」(石田さん)

◆『転生したらスライムだった件』伏瀬 原作/川上泰樹 作画
 通り魔に刺されて死んだ中堅会社員が異世界にスライムとして転生。強敵を打ち倒し、相手の能力を取り込み、前世の経験を活かして国や種族をまとめていく。

「底辺から成り上がっていく国盗り物語的な面白さ。異世界キャラも多彩です」(石田さん)

◆『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』理不尽な孫の手 原作/フジカワ ユカ 作画
 30代無職の男性が実家を追い出され、トラックにひかれて、翌朝には剣と魔法の素養に抜きん出た赤ん坊に転生。
前世の反省を活かして、懸命に生きる物語。

「主人公を取り巻く異世界の構築や剣と魔法という軸、敵役の設定もきっちり」(石田さん)
https://news.yahoo.co.jp/articles/11ed4f7f248168ac76dce70ad65c83385e046ab2?page=1