[東京 2日 ロイター] - 日銀の雨宮正佳副総裁は2日、参院予算委員会で、日銀は保有国債の評価方法として「償却原価法」を採用しており、長期金利が上昇して国債の市場価格が下落したとしても「決算上の期間損益に影響はない」との見方を示した。保有資産の評価損や資産売却による損失が短期的に生じても「金融政策の遂行能力が損なわれることはない」と強調した。

浅田均議員(日本維新の会)の質問に答えた。

雨宮副総裁はイールドカーブ全体が上方にシフトした場合の評価損を問われ、1%なら28.6兆円、2%なら52.7兆円、5%なら108.1兆円、11%なら178.8兆円だと答えた。

日銀が11月28日に発表した2022年度上期の財務諸表などによると、金利上昇により保有国債が8749億円の評価損と、現行の会計制度となった1998年以降で最大となった。雨宮副総裁は、中央銀行は通貨を発行しているため「中銀の財務は一般の企業や金融機関とは全く違う」と話した。

物価高の状況でも金融緩和を維持する日銀について、浅田議員が「長期金利の上昇により時価ベースでの債務超過が巨額になるのが怖いからではないか」と指摘したのに対し、雨宮副総裁は、現段階では日本経済をしっかり支え賃金上昇を伴う形で物価目標を持続的・安定的に実現するために政策運営しており「決して日銀の財務面への配慮ではない」と語った。

(和田崇彦 編集:田中志保)

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