https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN01EL10R01C22A2000000/
米FDA、男性同性愛者の献血制限見直しへ
米食品医薬品局（FDA）は1日までに、男性の同性愛者の献血を一律に制限する現在の規制を見直すと発表した。男性の同性愛者の献血は1980年代、エイズウイルス（HIV）感染リスクを理由に全面的に禁止した。近年になって条件を緩和したが、性的指向のみを基準とした感染リスクの査定に対しては科学的根拠より差別的な見方に基づくとの批判があった。
FDAは11月30日に発表した声明で、献血者向けの質問票に、性的指向による一律の制限に代わり、より個別の状況に応じてHIV感染のリスクを査定する内容の採用を検討していると説明した。現在、新しい質問票を試験的に導入したプログラムの結果を検証している。具体的な切り替え時期などは未定。米同性愛者擁護団体GLAADのサラ・ケート・エリス最高経営責任者（CEO）は、FDAの発表について「遅ればせながら重要な一歩だ」と歓迎した。
FDAは2015年、男性同性愛者の献血の受け入れを「全面禁止」から「最後の性交渉から1年たった場合」に緩和した。さらに2020年には、性交渉後の待機期間を3カ月に短縮した。日本赤十字社は「過去6カ月以内に男性同士の性的接触があった場合」を献血受け入れの対象外としている。
制限緩和が進んだ背景には、HIV感染のウイルス潜伏期や感染リスクについての医学的理解の進展がある。直近では、新型コロナウイルス流行で献血者が減り、輸血用の血液不足が深刻化したことも、受け入れ条件の緩和を後押しした。
