「金欠」口癖の人が狙われる、末端役を押しつけられる少年ら…気付いた時には逃げられず

静岡県内で特殊詐欺に加担したとして検挙される少年が増えている。「単発のいいアルバイトがある」「辞めたかったら辞められる」など、知人の紹介やSNS上での募集に軽い気持ちで応募して、詐欺グループから抜けられなくなることも多く、県警が注意を呼びかけている。(浦上華穂)

「『このバイトは犯罪だ』と気が付いた時には、相手に職場や実家を教えていて逃げられなかった」

静岡市葵区で15日に行われた県少年警察ボランティア向けの研修会で、特殊詐欺事件を担当する県警捜査4課の八木謙太朗・課長補佐が、詐欺グループに加担した少年の声を紹介した。

県警によると、特殊詐欺に加担したとして、今年1~8月に県内で検挙された犯行時20歳未満の少年の人数(速報値)は18人。すでに、昨年1年間の検挙数(8人)の2倍超となっている。18歳以上が14人で、高校生もいたという。

検挙された少年らは、詐欺グループ内で「末端役」を押しつけられていた。現金やキャッシュカードを受け取る「受け子」やATMなどで現金を引き出す「出し子」、見張り役、運転手役などだ。

詐欺グループは、甘い言葉で少年を誘う。断れない性格の人や「金欠」が口癖の人などが狙われやすい傾向があるという。「闇バイト」の募集はSNSに投稿されることが多く、「いくら取り締まっても追いつかない状況」(八木課長補佐)という。

詐欺グループには、暴力団が関わっていることが多い。今年7月には、グループから抜けようとした20歳代の男を監禁したなどとして、県警が暴力団関係者の男ら3人を逮捕監禁致傷と恐喝容疑などで逮捕した。 八木課長補佐は、「詐欺グループに関わってしまったら、自分で抜け出すことは危険だ。必ず警察に相談してほしい」と呼びかけている。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20221118-OYT1T50146/