別居したあと、子どもの身の回りの世話などをする監護権を持った母親が、
夫に対し強制的に子どもを引き渡すよう求めた申し立てについて、
最高裁判所は「子どもが拒んだというだけでは、引き渡しを認めない理由にはならない」と指摘し、申し立てを認める決定をしました。

和歌山県の女性は、別居した夫に対して息子を引き渡すよう求め、
去年、母親を監護者と認めて引き渡しを命じる審判が確定しました。

しかし、当時8歳の息子が母親の元へ行くことを拒み、引き渡しが実現していないため、
母親は夫に制裁金を課して強制的に引き渡しをさせるよう申し立てていました。

和歌山家庭裁判所は「子どもの年齢などを考えれば、引き渡しを強制されても過酷ではない」として、
父親に対し、息子を引き渡すまで一日につき2万円を支払うよう命じましたが、
大阪高等裁判所は「息子には拒絶する明確な意思があり、心身への影響を考えると引き渡しの実現は難しい」と判断し、
母親の申し立てを退けました。

これについて、最高裁判所第3小法廷の長嶺安政裁判長は「子どもが拒んだというだけでは
引き渡しを認めない理由にはならない。
今回のケースでは長男が拒絶の意思を示したのは2か月間で2回にとどまっていて、
強制的な引き渡しを求めることが母親の権利の乱用にあたるとはいえない」として、
大阪高裁の決定を取り消し、母親の申し立てを認めた判断が確定しました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221202/k10013911331000.html