政府与党内で増税をめぐる動きが活発化している。10月26日に開かれた政府税制調査会では、委員から消費税の引き上げについて議論すべきとの意見が相次いだ。自民党の税制調査会においても法人増税に関する案が浮上しており、ここにきて、増税に関する話題を多く耳にするようになってきた。

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税制調査会は政府と自民党にそれぞれ存在しており、時代によってその力関係は変わってきたが、政府税調と党税調の両方で増税に関する議論が出ているのは決して偶然ではない。今後3年間大きな国政選挙がなく、与党にとっては「黄金の3年間」と呼ばれている。この間に増税を既定路線にするもくろみがあると考えられ、政府・与党全体として増税に向けて動きだした可能性が高いだろう。

日本は一般会計予算の約半分を国債に頼るという、ある種の異常状態が続いている。財政の立て直しが必要であることは言うまでもなく、そのためには、歳入を増やすか、歳出を減らすか、あるいはその両方を実施するしかない。

歳出削減については、予算の約半分が社会保障や地方交付税交付金、防衛費など必須項目で占められている現実を考えると、厳しい決断をしない限り、歳出を抜本的に減らすことはほぼ不可能である。一方で歳入を増やす方法には、増税以外にも選択肢がある。

景気と税収は比例するので、経済が成長すれば自動的に財政は好転する。バブル崩壊以前、日本の財政は健全だったが、それは成長率が高く、税収が拡大していたからである。財政を立て直す最良の方法は経済成長であり、これが実現すれば状況は短期間で改善する(ドイツが圧倒的な健全財政を維持できているのは、成長が続いているからである)。