とにかく、民営化によって国民が受けられる水道サービスの質は大幅に低下した。

 その様子を目の当たりにし、2017年には国民の83%が水道事業の再公営化を望むに至った。翌年3月には、当時の環境・食糧・農村地域省大臣が、怒りの告発をしている。

 大臣は保守党議員で、財政再建と民営化を進めてきたサッチャー政権の流れに連なる人物が民営化に異を唱えたのだ。

 告発によると、民営化されたイギリスの水道会社は、2007年から2016年の間に約188億ポンド(約2兆7200億円)の純利益を得ていた。この間の株主への配当額は181億ポンド(約2兆6100億円)。

 つまり、儲けのほとんどが、株主の懐に注ぎ込まれていたのだ。問題はこれだけではない。水道会社の経営者が軒並み、イギリス首相(編注:約16万ポンド=約2600万円)のなんと5倍以上の年俸を受け取っていることが明らかになった。
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