ハリウッドなどで有名シリーズの続編やリメイク版が作られる際、新たに白人以外のキャストが加わったり、それまで白人が演じていたキャラクターが非白人に演じられるようになったりすると、必ずあがる批判がある。それは、「芸術にポリコレ(政治的正しさ)を持ち込むと、作品の芸術的価値や完成度が犠牲になってしまう」というものだ。この指摘は説得力があるように聞こえる。

だが、この批判について、本来「誰が」、「どのような状況に対して」、「どのようなロジックで」、「どのような目的のために」言っているのかを分析すると、見えてくる事実がある。それは、「芸術に政治を持ち込むな」という要求そのものが、実はきわめて政治的な要求であることだ。

作品に対する批判は自由だし、何らかの政治的な信条を自覚的に主張することも自由だろう。ただし、「政治を持ち込むな」という批判を額面通りに受け取って同調している人がいるとしたら、その主張によって自分が何を言っているのか、わかっていないことになる。そうならないためにも読んでおくべき、米「アトランティック」誌の分析をお届けする。

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