「主導」の関電、課徴金免除? カルテル申告、他社「巻き込まれた」
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 電力供給をめぐるカルテルを結んでいた疑いがかかる大手電力。中国電力などは課徴金計1千億円超が課せられる見通しの一方で、主導したとされる関西電力は不正を最初に自主申告したとして課徴金を免れるとみられる。カルテルが事実であれば、競争を促す電力自由化の趣旨を踏みにじる行為だが、各社で明暗が分かれたかっこうだ。

 カルテル疑惑に中国電力社内では、「利用者からの信頼を失いかねない」と危機感がただよう。一方で、「関電から働きかけたのに、課徴金を逃れられるというならとんでもない話だ。全く迷惑千万だ」と社員の一人は憤る。

 中国、中部、九州の大手電力3社などは2018年秋ごろから、企業向けの電力販売をめぐり、従来の営業エリア以外では積極的な営業をしないよう、関電とそれぞれ合意を結んだとされる。主導したとされる関電は最初に公正取引委員会に不正を自主申告し、課徴金は免れる見通しだ。

 中国電は3社のうち最大の700億円超を課される方向だ。23年3月期の業績見通しではもともと、燃料価格の高騰で史上最悪の赤字を見込んでいたが、課徴金を支払うための引当金計上も余儀なくされ、赤字見込みは2097億円にまで膨らむ。

 中国電のこの社員は今後の経営引き締めで給与が減らされることも覚悟している。多くの同僚たちも関電への怒りを隠しきれずにいるという。

 中部電力とその販売子会社「中部電力ミライズ」(名古屋市)の課徴金は計約275億円。中部電も23年3月期は過去最悪の赤字を見込んでいたが、課徴金を通知された今月1日、支払いに備えて同額を特別損失に計上すると発表した。中国電と同様に赤字見込み額がさらにふくらむ可能性がある。

 中部電の社内でも不満が渦巻く。関係者の一人は「関電がやったことに巻きこまれたように見える」とこぼす。

 ただ関電はカルテルへの関わりについて、5日時点で「当局による調査は継続中であり、回答は差し控える」とコメントするにとどまっている。

 ある関電OBは「カルテルは消費者をないがしろにするもの。課徴金を逃れるとしても、関電はきちんと説明するべきだ」と話す。(松田史朗、内藤尚志)


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