遠藤保仁の名を日本国内だけでなく世界的に知らしめたのが、特異なPK技術、いわゆる「コロコロPK」である。

相手GKの動きをぎりぎりまで見定め、ものの見事に逆を突き、低速のゴロシュートで流し込む──。日本代表の海外遠征でも披露し、世界中で話題になった。

誰の真似もしていないと、ヤットが誕生秘話を明かす。
「なーんも参考にはしてない。まったく。完全な思い付きよ。きっかけは普通の練習だったかな。キーパーの体重のかかったほうにボールを蹴ったら、まず足は出ないでしょ? 
それの逆やん、どんだけコースが甘くても、動いたほうと逆に蹴ったら入るやんと。ほぼほぼ外さんかったね」

 ところがある日を境に、パタッと蹴らなくなった。成功率が下がったわけでもなく、世間が騒ぎすぎたからでもない。

「なんかね、途中で飽きた(笑)。というより、もっと確実なのを見つけたから。キーパーの手が届かないサイドネットにスピードのあるボールを蹴れば、たいがい止められへんという境地に至った。
もうそうなるとキーパー云々じゃないよ。どう動こうが関係ない。ズドンと行けばいいだけやから。最近は基本的にずっとそれ。そこに蹴れる技術と自信がないと、できないけどね」

https://www.soccerdigestweb.com/news/detail4/id=26264