40代正社員の平均年収が下がっている意外な理由とは? 24年間で約60万円も減少

世界的なインフレの中、日本でも消費者物価が上がってきています。11月18日に発表された生鮮食品を除いた前年同月比の消費者物価指数は、+3.6%と1982年2月以来、40年8カ月ぶりの高い数字となっています。

 その一方で給料が上がらず、生活が苦しいという悲鳴が上がっています。なぜ、日本人の給料は上がらないのか。今回は、働き盛りの40代に焦点を当ててその理由を説明します。

(中略)

日本の大半の企業は役職に就かないと上がらない

 では、なぜ中高年の平均年収が下がったのでしょうか? それは40代になっても課長以上の管理職になれない、あるいは係長や主任といった役職にも就けない平社員が増えたからです。
 労務行政研究所が21年、上場企業を中心に調査した職位別の賃金は次のようになっております。

部長:1000万円台
課長:800万円台
係長:500万円台後半~600万円台前半
一般社員:300万円台後半~400万円台前半

 部長の年収水準を100とすると一般社員は40程度に留まります。上場企業に勤務していたとしても、昇進しなければ十分な給料をもらえない人が多いのです。
 年功序列で一般社員にもある程度の賃金まで上げてくれる優しい会社もありますが少数でしょう。
 男女雇用機会均等法が施行されてから、長い時間が経つのに女性の賃金が男性と比べて低いのは、管理職に就く人が少ないからです。直近の調査によれば、管理職における女性の割合は、9.4%に留まっています。


 昭和や平成の初期の時代は、年功序列により誰しもが管理職に就けたのでしょうか? 正確にはそうでもありませんでした。管理職になるような人材は、実務能力以外のリーダーシップなど先天的な要素も必要なため、ある意味限られています。

 管理職の素質がない人でも「担当部長」「課長代理」「副部長」などいわゆる“部下なし管理職”の地位に就けました。部長か課長と比べて権限はないものの、管理職に準ずる給料をもらえていたのです。
 真面目に一つの会社に勤務していていれば、ある程度の給料はもらえていた恵まれた時代だったのです。

 競争力の激化に伴い意思決定のスピードアップを求められるようになったため、こうした部下なし管理職は減ってきて、その代わり40代、50代でも一般社員に留まる人が増えてきたのです。
 定年の延長に伴い60歳以上の社員にも原資を回す必要がでてきたなどの企業側の事情もあります。

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2212/08/news011.html