米下院は8日、同性婚の権利を保障する法案を賛成多数で可決した。上院はすでに可決しており、バイデン大統領が近く署名して成立する。民主党議員全員に加え、共和党議員も一部が賛成に回った。背景に米国民の7割が同性婚を支持する世論の後押しがあった。

上院では共和党議員12人が賛成し、61対36で可決。下院では258対169で、共和党議員39人が賛成に回った。バイデン氏は声明で「民主党と共和党が協力し、我々の最も基本的な権利を守ることが可能だと示した」と法案の可決を歓迎した。

法案は各州が州法で同性婚を合法化することを義務付けているわけではないが、合法州での婚姻を全州で認めるよう定めた。キリスト教保守派を支持基盤とする共和党に配慮し、信教の自由を尊重し宗教団体に同性婚を認めるよう強制しないことを明記した。異人種間の結婚の保護も同様に定めた。

米国では2015年に連邦最高裁が同性婚の権利を認める判断を下し、全米で同性婚が合法となった。しかし今年6月に最高裁が人工妊娠中絶の権利を認めた判決を覆した際に、保守派判事の1人が同性婚の権利も見直す可能性を示唆。保守派判事が多数派の最高裁が判決を覆した場合に備え、民主党を中心に連邦法による権利保護を求める声が高まった。

米ギャラップが21年5月に実施した世論調査では、米国民の70%が同性婚は合法であるべきだと回答。支持は年々増加してきた。21年の調査では共和党支持者でも支持が55%と初めて半数を超えた。同性愛者であることを公言する人が増えたことや、合法化で同性婚が一般的になってきたことなどが要因とされる。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN08ELI0Y2A201C2000000/