国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は7日、ロシア軍占領下のウクライナ北部での民間人殺害に関する調査報告書を公表し、北部だけで民間人441人が占領下で殺害されたことが確認されたと明らかにした。このうち28人は少年少女だったという。

調査対象は、今年2月24日から4月上旬にかけて露軍に占領されたキーウ近郊ブチャやチェルニヒウ、スムイなどウクライナ北部地域で、現地調査団が被害者や遺族から直接聞き取った情報などを基にまとめた。調査の結果、102市町村で441人の民間人殺害が確認された。食料を隣人や親戚に届けるため、徒歩や自転車で移動していた際に殺害されたケースもあったという。

このうち100件について詳細に調べたところ、57件は、裁判を経ずに露兵によって殺害された「即決処刑」に分類された。ブチャでは、自宅で迷彩服が見つかった男性(27)が連行され、射殺されたケースが確認された。遺体の多くは拷問を受けた痕跡が見られ、戦争犯罪の恣意的な殺人に該当する可能性が高いという。

OHCHRによると、ウクライナ全体の死者数は12月4日時点で6702人、行方不明者は1万5000人以上に上る。

https://www.yomiuri.co.jp/world/20221209-OYT1T50082/