職員らは西日本新聞の取材に「過度な目標設定があり、自腹契約が暗黙の了解として長年行われてきた」と証言している。JA鹿児島県中央会に35年間勤務した経歴のある野村氏は、自腹契約について「前は行われていた」と説明。現在は、職員個人ではなく部署ごとに営業目標を設定するように改めているとの認識を示し、「あまり最近は聞かない話だった」とした。

 農林水産省は7日、来月にもJAに対する監督指針を改正し、ノルマ達成のために上司が自腹契約を促す行為などを明確に「不祥事」と位置づける方針を示した。野村氏は、自腹契約を強いることの問題点を問われても明確に答えず、「(自腹契約は)不適正な処理をやったというだけの話」と強調。「不正ではない」と繰り返した。

 野村氏の発言に対し、九州のJAの現役職員は「上部団体から各JAに下りてくる営業目標は個人単位で割り振られ、多くの同僚が達成できずに不要な共済に加入している。どれだけ悔しい思いをしているか、現場で体験してみろと言いたい」と憤った。

 着服などの不祥事が続いたJAおおいた(大分市)では、第三者委員会が2020年、調査報告書で「過大なノルマは不祥事の元凶」と指摘した。福岡県のJA元職員は「厳しいノルマで職員のモラルが低下し、自腹契約だけでなく不祥事も起きている。組織が抱える深刻な実態を理解してほしい」と求めた。