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ショックを受けている。優勝すると思っていたブラジルが、準々決勝で敗退した。しかし、これがW杯なのだ。悔しいが、最高の試合だった。

ネイマールとモドリッチが繰り広げた世界最高の10番対決。ドリブル突破で決定機を生み出そうとしたネイマールに対し、モドリッチは卓越した戦術眼でゲームをコントロールし続けた。延長前半16分、ドリブルで仕掛けながら2度のワンツーリターンパスでペナルティーエリアに侵入したネイマールは、それまで立ちはだかり続けたGKリバコビッチまで抜いてゴールを決めた。ブラジルの放った19本目のシュート。そして10本目の枠内シュート。素晴らしいゴールだったが、このままでは終わらないと思っていた。なぜなら、クロアチアにはモドリッチがいるからだ。

モドリッチがボールに触ると、ゲームが落ち着く。ほとんどミスがない。そしてボールを失うことなく、相手の一番嫌なスペースにパスを繰り出す。さらにゲームを読み、絶えず的確なポジションを取り続ける。相手のパスコースを消し、守備に関しても大きな役割を果たしていた。

彼はサッカーを知り尽くしている。そしてこの日は120分間、ゲームを作り続けながら走りきった。すべてを兼ね備えた天才的10番。彼は本当に37歳なのか…。

そのモドリッチを中心に、クロアチアは最後まで粘り強く、我慢強く戦った。日本が学ぶべきサッカーをブラジル戦でも見せてくれた。(元日本代表)