「安い日本」訪日外国人は何を買う? 刀、ゲーム、着物… | 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20221205/k00/00m/020/159000c

歴史的な円安のさなか、新型コロナウイルスの水際対策の見直しで10月中旬に入国者数の上限が撤廃され、訪日客の個人旅行が解禁されると、10月の訪日客は約50万人と前月比2・4倍に増えた。政府は円安のメリットを生かし、インバウンド(訪日客)の旅行消費額について「年5兆円超の速やかな達成を目指す」と意気込む。東京都内を歩いて外国人に聞いてみた。“安い日本”でいったい何を買っているの?【國枝すみれ、大野友嘉子】

秋葉原―中古ゲーム、どんどんと

11月中旬、小雨が降り人もまばらな東京・秋葉原。中古ショップは外国人客ばかりだ。

「友人たちに頼まれてアニメグッズや中古ゲームを買いに来た」。ノルウェーから来た高校教師のノルテゥン・スティナルさん(29)は大きなリュックを背負っている。中身は空っぽ。買ったものを入れるためだ。「5年ぐらい前、中古のスーパーファミコンがあった。まだあるかな?」。中古ゲームショップで5000~6000円のものを発見して大喜びで手に取った。ゲームソフトをどんどんカゴに入れていく。「星のカービィ」「ストリートファイター」……。「ロックマン」のソフトは1188円だ。「ノルウェーなら2万円の価値があるよ!」

「あつまれ どうぶつの森」ファンの母のためにぬいぐるみを加えて、合計1万7000円。「これでみんなのクリスマスプレゼントが買えた」

日本は物価高に苦しむが、スティナルさんは安いと感じる。「昨夜、ちょっといい感じの居酒屋で焼き鳥ディナーとお酒を飲んだけど、たったの1万円。同じクオリティーの店にノルウェーで行ったら4万円はかかりそう」

浅草―「爆買いしているのは米国人」

「古い着物はパーティーで着るのにぴったり。男物の羽織はシンプルでおしゃれ」。浅草近くの田原町で、オランダ在住の英国人、ジリアン・マッキーさん(34)は3300円で買った黒い羽織を見せてくれた。日本での買い物のお目当ては着物と化粧品だ。

マッキーさんも、秋葉原で出会ったスティナルさんも円安によるお得感はそれほどないと話した。ノルウェーの通貨クローネも、欧州連合(EU)の通貨ユーロも、米ドルに対して弱いからだ。「本当に爆買いしているのは米国人」と教わる。

実際、秋葉原で中古ゲーム機を買っていた米国人で、4月から日本に留学中のケンブル・ジェイソンさん(27)はこう話した。「食品や外食など何でも安いし、対ドルのレートが良いから生活が楽です」

浅草近くで、問屋街がある合羽橋に行くと、まさしく米国人が“大人買い”していた。

料理包丁専門店「つば屋包丁店」で、出張で訪日中の米国人弁護士、ボニー・プライスさん(44)は1本3万円の包丁をポンと買う。「ハンドメードだし、お得感はある。料理好きの夫への贈り物です」。その隣でプライスさんの上司の男性(47)が値段も聞かずに牛刀など4本を選び、6万…

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