岸田文雄首相は10日、臨時国会閉幕を受けて首相官邸で記者会見に臨んだ。防衛力強化の内容、予算とともに、増税を含む安定財源を年内に決定する方針を強調。「この3点を三位一体で国家の意思として毅然(きぜん)として内外に示す。強い決意を持って臨んでいく」と述べた。

 首相は「(防衛力の)維持・強化の裏付けとなる財源は不可欠だ」と指摘。「財源確保のあらゆる努力をした上で、最終的に国民に一定の負担をお願いせざるを得ない」と述べ、歳出改革を徹底するなどしても増税に踏み切る必要はあるとの認識を改めて示した。

 ただ、増税の開始時期については「柔軟に対応していく」と表明した。政府は2027年度時点で1兆円強を増税により賄う方針で、それまで税率を段階的に引き上げることを検討するとしている。
 増税を巡り自民党内には「拙速」との批判が出ている。首相はこれに関し、「今年の初めから(予算や財源の)議論を積み重ねてきた」と反論。防衛財源としての国債発行について「未来の世代に対する責任として、取り得ない」と否定した。
 首相は近く決定する安全保障関連3文書について「安保政策、財政政策の大きな転換だ」と訴えた。
 内閣改造については「現時点で考えていない」と明言。防衛増税を争点とした衆院解散・総選挙に関しても「全く考えていない」と否定した。
 首相は、来年5月に広島市で開催する先進7カ国首脳会議(G7サミット)に関し、「武力侵略も核兵器による威嚇も国際秩序の転覆の試みも、断固として拒否する強い意思を示したい」と強調。日中関係について「建設的かつ安定的な関係」の構築に向けて「首脳を含むあらゆるレベルで意思疎通を行う」と語った。
 新型コロナウイルス感染症に関しては、「この年末年始を乗り越え、来年は平時の生活を全面的に取り戻そう」と対策継続を呼び掛けた。

時事通信 2022年12月10日22時15分
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