暴走し始めるプーチン
軍事的劣勢が顕著になるにつれ、プーチンの不満、怒りは高まり、9月、ついには一部のロシア国民を強制的に戦場へ送る部分的動員を発令し、ウクライナ東部南部4州の一方的併合を宣言するなど、その暴走度数に拍車が掛かった。
それによってプーチンの世界的孤立が一層進み、ついにはロシアに対して沈黙し続けてきた中国やインドまでもがロシア離れを示すようになった。
9月、侵攻以降対面で初めてプーチンと会談した習国家主席は、ウクライナ問題に話題が移ると終始無言を貫き、プーチンは中国が我々への疑念を理解していると伝えるなど初めて中露間で亀裂が生じていることが判明した。
その後プーチンと会談したインドのモディ首相も、今は紛争をしている時ではないとウクライナ侵攻を非難し、ロシアと距離を置いて接する姿勢を示した。そしてプーチンが自らの勢力圏と位置付ける旧ソ連圏諸国からもプーチン批判が聞かれる。
たとえば11月、プーチンと会談したカザフスタンのトカエフ大統領は、両国関係の一層の強化を記す国交樹立30周年を記念する共同宣言に署名した一方、ロシアとカザフスタンは既に主従関係にないことも明記した。トカエフ大統領はロシアによるウクライナ東部南部4州の併合は認められないと非難し、ウクライナ問題は対話によって解決すべきとの意思を示している。
●孤立化が顕著
このように2022年というスパンで見てくると、ウクライナ侵攻が長期化するにつれプーチンが失うものは拡大している。衝撃的だった軍事的侵攻は見事に撃ち返され、プーチンの世界的孤立がいっそう顕著になり、ロシア経済は疲弊し続けている。ウクライナ侵攻というのは、正にロシアによる自爆戦争と言えるだろう。
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