【カイロ=佐藤貴生、北京=三塚聖平】サウジアラビアの首都リヤドで9日、中国とアラブ諸国の首脳会議が初開催され、戦略的パートナーシップの強化を目指すコミュニケを発表した。双方は「台湾独立」に反対し、人権問題を通じた他国への内政干渉を拒否することでも一致した。

会議に出席した中国の習近平国家主席は「中国とアラブの関係は歴史的に飛躍した」と述べ、会議が協力の「新たな出発点」と称賛した。サウジ首相のムハンマド・ビン・サルマン皇太子が会議の議長を務め、エジプトやヨルダンなど十数カ国の首脳らが参加した。

国営サウジ通信によると、コミュニケでアラブは台湾を巡る中国の「一つの中国」原則に対する強固な責務を確認。中国が台湾を含む領土の一体性を維持する取り組みのほか、香港に対する中国当局の統制強化の姿勢を「支持」した。

中国とアラブは人権問題を「政治化」し、「道具」として使い、他国に圧力をかける「内政干渉」も拒否するとした。中国当局のウイグル族弾圧、アラブの強権体制による反体制派締め付けに対する欧米への批判が念頭にあるとみられる。

地球温暖化対策で化石燃料からの脱却が国際的な課題となる中、コミュニケは経済成長確保のため「バランスが取れたアプローチ」が重要とし、原油などを念頭に主要なエネルギー源を排除しない重要性も強調した。世界最大の原油輸入国の中国と、原油・天然ガスの輸出国があるアラブ側の思惑が一致した。

リヤドでは9日、ペルシャ湾岸6カ国で構成する湾岸協力会議(GCC)と中国の首脳会議も開かれた。習氏は石油や天然ガスの輸入を増やす以降を示した上で、「人民元による決済を推し進める」と表明した。

エネルギー資源の取引で一般的とされる米ドル建て決済を減らし、ドルの世界の基軸通貨としての影響力をそぐ狙いがあるとみられる。ただ、政治的な思惑が強く、GCC諸国側が本格的に応じる可能性は低いとの見方も出ている。

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