佐藤優氏が解説、生誕200年ドストエフスキーの今読むべき2作品と読み方

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「大審問官」
場面は15世紀スペインのセヴィリア、異端審問の最も激しい時代。そこにキリストが降り立つ。
人々はそれがキリストだとわかってキリストの周りに集まりだす。厳しい異端審問によって秩序を維持するセヴィリアにとって、これは秩序の危機だ。
枢機卿である大審問官はキリストを捕らえて牢獄に閉じ込める。そして大審問官は夜中、キリストをを訪れて、自らの告白をする。
人間はキリストによって自由を与えられた。しかし人間は何が善で何が悪であるかという選択の自由の重みに耐えられない。
キリストの自由では秩序が保てない。ここセヴィリアではキリストの代わりに我々が市民のために善悪を判断してやっている。
三つの力によって、すなわち奇跡と神秘と権威。だから愛などという雲をつかむようなお前の言説はここセヴィリアでは必要ない。