生活用品を販売する福岡県内の貿易会社は、紙おむつなどを輸出するための仕入れ額と、輸出先の売上高をともに水増しして、虚偽の確定申告書を税務署に提出し、不正に消費税の還付を一部受けていた。

 関係者によると、同社は2020年までの約4年間で、総額約19億3500万円の消費税を還付申告。悪質な仮装・隠蔽(いんぺい)にあたるとして、福岡国税局から重加算税を含め計約25億900万円を追徴課税された。

 国税当局は、輸出先の税務当局に対して租税条約に基づいて情報交換を要請。その結果、貿易会社が持っていた輸出許可書に記載された内容と、輸出先の法人が所有していた輸入許可書の内容が異なっていたことが判明した。仕入れ先の個人や法人への調査も進め、売上高や仕入れ額が実際よりも過大であったことを確認したという。

 また、福岡県内で雑貨の輸出を行う会社は国内の仕入れ先と協力。実態のない取引が記載された請求書を使って架空の仕入れを計上していた。輸出販売したと偽り、不正に還付金を受けようとして同国税局から昨年、重加算税を含め約2100万円を追徴課税された。

 ほかに、輸出先の外国法人が実在していなかったり、実在しても取引実態があるよう口裏を合わせたりしている事例もある。外国人が経営する企業が自国の輸出先と協力しているケースもみられた。

 国税庁によると、消費税の還付申告を行った法人を対象に全国の国税当局が6月までの1年間に行った税務調査で、791件の不正還付があり、追徴税額は前年比約3倍の約111億円。このうち、福岡国税局管内が約4割を占め、この5年間で最高の約42億3600万円に上った。不正還付の件数は41件だった。