サウジアラビアと中国、共通の利益で結ばれた前途有望な未来
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一方、中国はアラブの指導者が理想とする政治・経済モデルを持ち、信頼できるパートナーとして台頭してきた。中国は不干渉の原則を堅持しているため、外交・経済的役割と民主主義や人権の問題を結びつけることはない。
中国には、米国のようにイランやイエメンなどの地域の脅威に対処するための軍事支援や安全保障の約束をめぐって信頼されている湾岸諸国の同盟国を強要する帝国的な傾向もない。
しかし、サウジアラビアと中国は、中東における米国の安全保障へのコミットメントを継続することに共通の関心を持っている。
結局のところ、米国は地域紛争を悪化させる主な原因になっている。また、米国はアラビア湾のシーレーンを守るために必要な軍事力を有している。
一方、中国には米国の安全保障上の役割を代替する能力も意志もない。この地域における中国の軍事的基盤やサウジアラビアとの防衛協力関係も最小限のものである。
中国の「パートナーシップ外交」には軍事同盟の要素がないため、地域的な対立に巻き込まれることはない。サウジアラビアは、こうした地政学的な強制力を理解している。
サウジアラビアはイランと中国の間で結ばれた4,000億ドル相当の25年間の協力協定にも異存はないが、これも大部分が書類上のものである。湾岸地域における米国の安全保障上の役割の低下に取って代わるために、サウジアラビアは、イランとその代理人からの危険を封じ込めるために、欧州の大国、BRICS諸国、さらにはトルコとより深い防衛関係を築くだろう。
結局のところ、中国・サウジアラビアの戦略的パートナーシップと中国のアラブ世界に対する経済的関与の将来は、北京とリヤドそれぞれの戦略的ビジョンプログラムの進展にかかっている権力の動向に依存することになる。
余剰資本と生産能力が、中国が新興国市場で一帯一路の事業を拡大し、2030年までに米国に代わって世界経済をリードする存在となることを支えている。
またこれは、「ビジョン2030」でサウジアラビアが経済大国として台頭するための期限でもある。
中国の戦略的パートナー、G20加盟国、OPECプラスのリーダーとして、サウジアラビアは世界のエネルギー市場の安定を模索し続け、エネルギー貿易、経済の多様化、国際投資によって必要な収益を生み出し、この極めて重要な国家目標を10年後までに達成することを目指す。
https://www.arabnews.jp/article/opinion/イシュティアック・アフマド/article_81554/
