能登半島で地震の頻発エリア拡大、地下の「水」が要因か…政府調査委「注視したい」

2020年から比較的小さな地震が続いている石川県・能登半島で、地震の頻発エリアが広がりを見せている。気象庁は地下の活動領域が広がっている可能性があるとみて警戒を強め、専門家も発生メカニズムを解明しようと地下構造の研究を進めている。

能登半島先端部では20年12月から地震活動が活発化し、気象庁によると、今月12日までに震度1以上の有感地震が259回発生。今年6月19日には6弱、同20日には5強の強い揺れも観測した。地震の頻発エリアは先端部付近で時計回りに広がってきたが、今年11月以降、新たに半島南東部の海岸沿いも加わった。

政府地震調査委員会の平田 直 委員長(東京大名誉教授)は今月9日の定例記者会見で「これまでにない新たな活動で、少し様子が変化した印象だ。今後も状況を注視したい」と話した。11月は有感地震が25回発生し、20年12月以降の月別発生数では2番目に多かったことから、気象庁も監視を強めている。

地震が頻発する要因として、専門家らは地下の「水」を挙げている。水そのものは確認されていないが、地下深くのプレート(岩板)に染みこんだ水が熱せられるなどして上昇し、岩盤を押したり断層面を滑りやすくしたりして地震が起きやすくなったと分析している。

東京工業大の中島淳一教授(地震学)は、半島周辺で03~20年に発生した約3万7000回の地震波の伝わり方を解析した。その結果、地下20~40キロ・メートルの深さで地震波の速度が遅くなる領域が広がっていたことがわかった。
地震波は水やマグマといった流体を通ると遅くなる性質があり、中島教授は「半島の地下に水が広く存在している可能性が高い。水の供給量や上昇ルートがわかれば、地震活動を予測できるかもしれない」と話している。

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