ヤフーはコメント欄の健全化のため、11月から携帯電話番号の登録を義務化した。桜美林大学の平和博教授は「ヤフーはこれまでも毎年のように対策を重ねてきたが効果は不十分だったようだ。ヤフコメが一因となった事件も起きており、今回の踏み込んだ対策も必然と言える」という――。

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■ヤフコメ投稿の際の「携帯電話番号の登録」義務化

 ヤフーは11月15日から、Yahoo! ニュースのコメント欄への投稿に、携帯電話番号の登録を義務化した。

 「ユーザーがニュースに関する多様な意見を共有しあい、新たな視点を得るきっかけを創出する」ことを掲げるコメント欄は、これまで誹謗(ひぼう)中傷やヘイトスピーチなどの「温床」として批判を浴び続けてきた。

 秋篠宮家の長女・小室眞子さんの結婚をめぐる誹謗中傷が問題視される中、過熱化したコメント欄を自動的に非表示にするという対策をとってから1年。その効果はなお十分とは言えなかったことになる。

 今年8月に「京都ウトロ地区放火事件」で有罪判決を受けた男性は、Yahoo! ニュースのコメント欄が犯行のきっかけの一つだったとメディアに語った。

 さらにコメント欄が海外からの情報工作に利用される、という状況もなお続く。

 携帯電話番号義務化は、コメント欄が抱えるこれらの課題に、どれだけの効果が見込めるか。

■ヤフコメはヘイト・有害情報の温床と批判されていた

 コメントの「投稿停止措置」を受けたユーザーにおいては、携帯電話番号の設定がないIDの割合が5割以上と高水準になっており、その背景として、「投稿停止措置」を受けたユーザーが別のIDを利用して不適切な利用を繰り返すケースが一因となっています。

 ヤフーは10月18日に発表したプレスリリースの中で、Yahoo! ニュースのコメント欄投稿に携帯電話番号の登録を義務化した背景について、こう説明している。

 ヤフーはコメント欄を「ニュースや世の中の出来事に関連する多様な意見や考え、感想が集まる場所」としている。だが一方で、コメント欄は誹謗中傷やヘイトスピーチなどの有害情報氾濫の舞台とも見られてきた。

 ヤフーはこれまでにも、不適切なコメントを繰り返したアカウントへの「投稿停止措置」(2018年6月)、「投稿停止措置」を受けたユーザーが同じ携帯電話番号で新たなIDを取得した場合も投稿制限(2020年10月)、などの対策を取ってきた。だが誹謗中傷などはやまなかった。