米ノースカロライナ沖合50km、廃灯台で過ごすスリル満点の夜

62歳のニール氏は、この「フライパン・タワー」の管理者だ。高さ24メートルの巨大な灯台は、米ノースカロライナ州の沖合50キロメートルの海域にそびえている。

修復工事を経て、最先端技術を駆使した海洋保護施設として、また環境に配慮した冒険ロッジとして利用されている。恐ろしくもすばらしいこのタワーは、わずかしか残存しないこうした施設に滞在し保存にも貢献できる、という希少な機会を与えてくれる。

フライパン・タワーは、ノースカロライナ州沿岸の危険な海域を航行する船を安全に導く灯台として、1964年に米沿岸警備隊によって建設された。この海域は、難破事故や激しい嵐がたびたび発生することで知られ、「大西洋の墓場」という異名を持つ。フライパン・タワーは、危険な浅瀬の始点を示している。

2010年、ニール氏は、オークションで米国政府からこのタワーを8万5000ドルで買い取り、現在はタワーの保全と刷新に取り組むNPO(非営利団体)を運営している。

現在、ニール氏はこのタワーに住んでいないが、過去には何度かここで生活していたことがある。2016年には、長年勤めたソフトウエア会社の営業職を失い、長い間、このタワーで暮らしたという。
「私はすっかり落ち込んでいました」とニール氏。「そこで、金づちを手に、作業に取り組んだのです」

ニール氏は半年間、陸に戻らなかった。食べ物や日用品は漁師に届けてもらった。時には、補修作業や新技術の導入のために訪ねてくる人もいた。だが、ほとんどの時間をニール氏は独りで過ごした。
「ひたすら星を見上げ、海に話しかける毎日でした」とニール氏は振り返る。「そうやって、自分の考えを整理できました」

以上抜粋 全文ソース
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/22/121600586/

高さ24メートルのフライパン・タワーは、1964年、米ノースカロライナ州の沖合約50キロメートルの海域に灯台として建設されたが、すでにその役目を終えている。
このタイプの灯台はわずかしか残っていない。現在はNPOがこのタワーを管理しており、訪問者は週末を過ごしたり修復作業を手伝ったりすることができる。(PHOTOGRAPH BY JORDAN SALAMA, NATIONAL GEOGRAPHIC)
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タワーには、8つのベッドルーム、改修ずみのバスルーム、ステンレス製のキッチンがある。交通手段はヘリコプターまたは船だ。
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タワーの屋外通路で溶接作業をするボランティア。
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