各国が韓国製を選ぶ理由は3つある。価格と納期、米露中との関係だ。一般に武器開発は自国軍の要請で行われる。米軍の要請で開発される米国製武器は質が高いが価格も高い。日本も2014年以降、武器輸出が可能となったが、自衛隊の要請で開発された武器は先端技術が盛り込まれるなど質が高く、生産数が少ないことも相まって高額だ。

米露中との関係は、米国とロシア、米国と中国が対立するなか、主要武器購入国でもある北大西洋条約機構(NATO)関係国がロシアや中国の武器を購入することはもちろんないし、米露中のいずれにも与せず中立な立場を取る国も米国製武器を購入するとロシアや中国との関係が悪化し、ロシア製や中国製を購入すると米国との関係が悪化しかねない。韓国はNATO関係国から見ると米国の同盟国だが、中立国も米露中との関係が悪化する危惧が小さいとみて韓国製が選択されている。

■ ポーランドが韓国製を選んだ最大の理由は納期

そして、ポーランドが韓国製を選んだ最大の理由は納期である。ポーランドは当初、米国製のM1A2戦車とドイツのレオパルト2A7戦車、自走砲はドイツのPzH2000を導入する計画だったが、いずれもポーランド軍が求める時期に納入できない。ドイツはレオパルト2戦車180両の完納まで10年以上かかるが、韓国は同数のK2戦車を3年以内に輸出すると提示した。多連装ロケット砲も米国から500門の高機動ロケット砲システム(HIMARS)を購入する計画だったが、ポーランド軍が望む納期を実現できないという回答だった。

K2戦車の導入を検討するノルウェーは、韓国がポーランドに提示した納期を守れるかどうかに注目する。どれほど値段が安くても納入が遅れると国防に支障が出る。

韓国は受注したFA-50戦闘機48機中12機を2023年中頃までに納入すると提示した。通常より早い納期で、ある専門家は韓国軍の整備計画に合わせて着手したFA-50をポーランドに引き渡す可能性を指摘する。通常、武器製造は自国軍を優先させて余力を輸出に充てるが、韓国は自国軍を犠牲にすることになりかねない。