昭和23年[1948年]1月2日、前日に引き続き一般参賀が行われた。新年一般参賀が2日続けて行われたのは、この年だけの例外だった。
この日は、最初から参賀者は坂下門から退出するように誘導された。

宮内府庁舎2階のご公務室におられた昭和天皇は、参賀の様子をお聴きになって、「せっかく、国民が来ているのだから、どこからか、その様子を見ることはできないだろうか」とおっしゃった。
これに侍従が「屋上へ上がれば見えると思いますが――」と答えると、「では行ってみよう」と早速、庁舎の階段を上って屋上に出られた。侍従はコートを持って後から追いかけた。
昭和天皇の驚くべき行動力と言わねばならない。

なお昭和天皇が屋上に上られた日付について、星野甲子久氏『天皇陛下の三百六十五日―ものがたり皇室事典(上)』(昭和57年[1982年])は1月1日とするが、
ここでは『昭和天皇実録』(昭和23年[1948年]1月2日条)の日付を採用する(他にも異同がある)。

参賀者は、昭和天皇が国民の様子を見るためにわざわざ吹きさらしの屋上に立っておられるのに気づいて、さぞかし驚いただろう。人々は口々に「万歳」を唱える。
すると昭和天皇も、帽子を大きく振ってそれに応えられた。

しばらくして香淳皇后も屋上にお姿を見せられ、お揃いで参賀者にお応えになった。宮内府がまったく予想しなかった光景が展開されることになった。

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