2chの音楽以外も聴いてみよう。

実は、M-CR612は光デジタル音声入力を備えているので、テレビの光デジタル音声出力と接続すると、テレビのサウンドを、607S2 M-CR612のシステムで聴けるようになる。

まず、テレビ朝日で放送しているクラシック系音楽番組「題名のない音楽会」を視聴。

https://asset.watch.impress.co.jp/img/avw/docs/1463/890/DSC01462_s.jpg

クラシックのような、音の広がりや、多数の楽器が奏でる音色の描き分けが重要なソースでは、607S2 M-CR612の再生能力の高さがマッチする。ストリングスのしなやかな響きや、ピアノの左手の鋭さなど、情報量豊かなサウンドが楽しめる。まるで自分の耳がレベルアップして、細かな音を聴き取る能力が高まったようにも聴こえる。

逆に、“音の支配力”が強い。どんな風に聴こえたのかというメモをとりながら聴いているのだが、607S2 M-CR612のサウンドは、様々な音がむき出しで、リアルに、ストレートに飛んでくる印象なので、音のインパクトが強く、思考が音に持っていかれてしまい、聴きながらメモをとるのが難しい。しばらく聴いて、ミュートボタンを押して無音になってからメモを書いて、またしばらく聴いて……というやり方になる。

これがREACTに変更すると、まったく違う。

中低域が豊富に出るので、大太鼓やチューバなど、低音が気持ちよく押し寄せるクラシックならではのスペクタクル感がグッと高まる。音もかなり広がるので、コンサートホールの臨場感も伝わってくる。ぶっちゃけ聴く前は「サウンドバーでクラシックなんて……」と思っていたが、これは大いにアリだ。

REACTのサウンドを「ガッツリと旨味が溶け出した豚骨醤油スープ」だとすると、607S2 M-CR612のサウンドはピュアなので、「キレの良い端麗な醤油スープ」のような感じ。607S2 M-CR612を聴いている時は「このキレとシンプルな塩味が良いよね」と、ラーメン通な顔をして頷くのだが、しばらくすると、やっぱり濃くて旨味が強い豚骨醤油スープが飲みたくなる。

また、REACTのサウンドには“キツさ”が少ないので、メモもとりやすい。メモを書くことに意識を集中すると、REACTのサウンドを“聞き流す”ことができるからだ。つまり、ガッツリと向き合って聴き込む事もできるし、BGM的になんとなく流しながら生活する事もできる。

607S2 M-CR612のサウンドは、情報量が多く高解像度なので「ながら聴きしよう」と思っても、ついスピーカーの前で足が止まったり、顔がスピーカーの方を向いてしまったり、考え事ができなくなったりする。体験してみるとわかるが、これは結構大きな違いだ。


番組を変更して、「ぶらり途中下車の旅」も見てみたが、これも違いが面白い。

旅人が、美味しいそうなハンバーグ屋を紹介していたのだが、607S2 M-CR612では、店内で喋っている旅人や店員さんの声の背後に薄く流れている「サーッ」というホワイトノイズが耳に入って気が散ってしまう。

映像はハンバーグの作り方に切り替わり、小日向文世がナレーションで「パン粉をまぶして、焼き窯で焼く事で……」と説明しているのだが、607S2 M-CR612のサウンドでは、本来聞き取らなければいけないナレーションの内容よりも、その背後に流れるABBAの音楽ばかり意識に入ってしまい、ハンバーグの作り方が頭に入ってこない。

画面がCMに切り替わったので、メモ書きに集中しようと思ったのだが、「今ならこの掃除機がこの価格!!」みたいなCMのナレーションと共に流れる、「シャラーン!!」というSEが高解像度過ぎて「うわこのCMってこんな音だったんだ」と、CMに意識が引っ張られてメモがまったく書けない。

REACTに切り替えると、小日向文世の声の、低い部分がしっかり出る事で“落ち着いた男性の声”に聴こえるようになる。旅人や店員さんの背後のホワイトノイズは、少し聴こえはするのだが、気にならず、彼らの会話内容がスッと耳に入ってくる。女性の旅人の声も、中低域がしっかり出るため、落ち着いた聞きやすい声になる。

かといってもボワボワした、不明瞭で“眠い”音ではない。このへんに、REACTの、サウンドバーとしての実力の高さがうかがえる。REACTの音で毎日テレビを見たら楽しいだろうなと思う。


https://av.watch.impress.co.jp/docs/review/review/1463890.html