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「孤独なゴリラ、解放を」 商業施設の動物園に30年―タイ

タイのバンコクにある商業施設内の動物園で、30年間飼育されている雌ゴリラ「ブアノイ」を別の場所に移すよう求める意見が市民の間で強まっている。1頭だけで孤独な上、環境が劣悪と批判されているためだ。政府は買い取って移送する計画を打ち出したが、動物園は売却を拒否している。
 「小さなハス」を意味するブアノイは33歳で、寿命が40年程度のゴリラとしては高齢。1992年にドイツから購入されて以来、老朽化が進み、掃除も行き届いていないと指摘される商業施設屋上のパタ動物園で飼育されている。ワラーウット天然資源・環境相は「ストレスを抱えた元気のない動物は誰も見たくない」と話す。
 環境省高官は「孤独のまま死ぬ前にドイツに戻そうという意見が寄せられている」と述べ、購入費として3000万バーツ(約1億1700万円)の寄付金を募る方針を表明。動物園は「ブアノイは慣れ親しんだここ以外には順応できない。最大限の愛を込めて世話しており、値段は付けない」と売却を否定した。
 ブアノイはタイで飼育されているただ1頭のゴリラ。友人と見に来た女子大学生ポムさん(22)は「とても哀れ。健康で幸せな余生を送ってほしい」と語った。