男子学生も「就活メーク」 対面でも自信のきっかけに(産経新聞)
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男性の間で若者層を中心にスキンケアやメークをする人が増える中、化粧品メーカーが就職活動をする男子学生を対象にした「就活メーク」の市場拡大を図っている。新型コロナウイルスの影響で人と会う機会が減ったため、学生が対面での就職活動に気後れする状況もあるといい、メークで身だしなみを整えて「自信を持ちたい」との需要の掘り起こしを図っている。

「こうすると、きりっとした顔にみえるよ」

女子学生がアイブロー(眉ずみ)を手に取り、照れくさそうに顔を寄せた男子学生の眉を整えていった。男性用化粧品大手のマンダムが11月に神戸国際大(神戸市東灘区)で開催したセミナー。1、2年生を中心に約40人が参加し、面接などの就職活動に向けたヘアスタイルやスキンケア、メークについて実際の化粧品を使いながら学んだ。

肌の粗を隠すためのコンシーラーで目の下を塗ってもらった3年生の藤沢光輝さん(21)は「営業など人とかかわる仕事がしたい。髪のセットはふだんからしているが、メークで(おしゃれに)磨きをかけたい」と話した。

男性の場合、肌のしみなどを補正し保護するBBクリームやアイブローなどが主なメーク道具という。講師を務めたマンダムの担当者は「少しのメークで印象が変わる。『なりたい自分』に近づく一歩にしてほしい」と呼びかけた。

近年の就活は、3年生からのインターンシップの参加が増え、活動時期が早まっている。一方で、新型コロナの影響でオンラインでの講義が増えた結果、人と会う機会が減り、対面での活動に不安を抱える学生が多いといい、同大キャリアアドバイザーの馬渕有美さんは「メークが少しでも自信をつけるきっかけになれば」と期待を寄せる。

化粧品各社も「メークをすることで安心感を持てば、面接などでの好印象につながる」として、就活を行う男子学生の間に潜在的なニーズがあると見て、若者向け商品を拡充する。

ファイントゥデイ資生堂(東京)は「uno(ウーノ)」のブランドで男性用化粧品を展開。今年5月、就活男性向けに「面接好印象テクニック」と題したPR動画を交流サイト(SNS)などで配信したところ、「対象のクリーム、アイブローの店頭売り上げにつながった」という。unoブランドマネージャー、溝口佳奈さんは「できるだけの準備をして就活に臨みたいという思いが学生側にあり、メークをやってみようという気持ちが高まっている」と手応えを語る。

花王も12月1日から、「Z世代」と呼ばれる10~20代の男性を対象にした新ブランド「UNLICS(アンリクス)」のカラーベースや化粧水などの新商品を発売した。

ただ、インターネットサービスのガロア(東京)の全国調査によると、「毎日行っている美容習慣」として「メーク」を挙げた学生は女性75%に対して男性はまだ8%にとどまる。マンダムのセミナーに参加した学生からも「これを毎日するのは大変そう」との声が漏れた。ファイントゥデイ資生堂の溝口さんは「未経験の男子学生が実際にメークしようとすると壁がある。商品の簡単な使い方をアドバイスすることで、就活ツールの選択肢として提供できれば」と話している。(牛島要平)