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コンプラ的に「ハゲ」はダメで「薄毛」がオッケー その理由に納得できないアンガ田中が導き出した結論とは

きるわけがないし、それどころか、薄毛という言葉よりもハゲという響きの方が面白い! ハゲって言ってくれよ! と真逆の感情になってしまう。

 だが冷静になってみれば薄毛はデリケートな問題であり、普通の社会人として生活するなら、触れるのには気をつけないといけない。芸人以外では、自分の意図しない笑いの対象とされることで傷つく人のほうが多いし、僕が初めそうであったように、薄毛を恥ずかしがり、隠そうとしている人が多いからだ。

 僕一人だけでも、先ほど書いた薄毛というものに対する歴史があるように、みんなそれぞれ歩んできた薄毛人生の中で作り上げられた、繊細なガラス細工のような感情を持っているのだ。

 だから、ロケ先で薄毛の方を見たときも基本的にいじるようなことはしない。

 けれども「もし、いじることができたなら……」と考えてしまうことはある。薄毛と笑いのつながりを誰よりも知っているから。

 じゃあどうすればいいのか? この人はいじってもいい、この人はいじってはいけない、を素早く判断する必要がある。

 いじってはダメな人の代表は、植毛をして必死に隠そうとしている人やカツラを被っている人だ。

 薄毛の人の中で一番繊細なタイプだろう。一般人であろうが芸能人であろうが、このタイプの人はいじってはいけない。

 芸能界にも、「あの人はカツラだから」という噂は回ってくる。その人と同じ番組で仕事をするときは、目線すら髪の毛の辺りに行かないように気をつける。女性が自分の胸元を見られたらわかるように、薄毛の人も頭を見られたら瞬時に気づくからだ。

 この時困るのが、MCの人が良かれと思って、僕に薄毛ネタを振ってくる場合だ。僕はいつもの通り、MCの人にいじられたら、「誰がハゲだよ!」と勢いよく返して笑いを取ろうとするが、同じスタジオにカツラの人がいるのに、薄毛を笑いにして大丈夫かなぁ……と不安になる。その人に話題が行かないように、なるべく簡潔に薄毛ネタを終わらせないと! と嫌な緊張感の中で喋ることが何度もあった。

 MCの人には、いじってはいけない人がいる時は、僕に薄毛ネタを振らないでほしいと言っておきたい。

 では、いじってもいい場合の許容ラインはどこなのか? 

 これが難しくて、人によって本当に気持ちが入り組んでいる。それは薄毛の僕だから気づけるものでもある。

「誰に何を言われてもいい人」

「身近にいる人には薄毛いじりをされてもいいけれど、あんまり関係性がない人に薄毛をいじられると嫌な人」

「前はいじられても良かったけれど、最近はダメな人」

「ハゲの人に言われるならいいけれど、フサフサの人に言われるのはダメな人」

「ハゲいじりがウケていればいいけれど、滑ったらダメな人」

 色んな人に出会ってきた。

 かなり多くのタイプがあるので、迂闊に薄毛いじりをするのは、やはり気をつけなければいけない。ラインを確実に見極めながら薄毛を笑いに変えるのが僕の仕事だ。

 ちなみに僕はテレビでハゲをいじられてもいいと散々言ってきたけれど、前頭部のハゲをいじられるのはよくても後頭部のハゲはいじられたくない。

 どうですか? 薄毛の人の感情は複雑で繊細なガラス細工でしょ?