新型コロナウイルス対策のマスク着用指示に従わず、マンション居住者に不安を与えたことなどを理由とした解雇は不当だとして、管理人の70代男性が管理会社(大阪市)に未払い賃金などをもとめた裁判で、大阪地裁は解雇を無効とし、約90万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

男性側の代理人弁護士によると、12月5日に出された判決は確定しているという。判決は、マンション管理人が「マスク着用」していなかったことは、会社の指示に違反するものとしたが、それでも解雇までは認められないとした。

判決文によると、男性は大阪府摂津市のマンションで管理人として働き、2021年5月にコロナ陽性と診断された。復帰したが、「マスク未着用」とのクレームが居住者から届いたとして、賃金の安い清掃員への職務内容変更を打診され、それを拒否したところ、「マスク着用指示に従わず、居住者に不安を与える行為」などを理由に同年6月、解雇通知を受けたという。

男性は同年7月、労働審判を申し立て、大阪地裁は解雇無効と賃金支払いを命じた。これに管理会社側が異議を申し立て、裁判に移行していた。なお、係争中に男性は定年を迎えたため、地位確認請求は取り下げた。

裁判の争点は3つ。

(1)退職合意の有無、(2)解雇権の濫用にあたるのか、(3)管理会社の行為の違法性

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