しの @mouse15278
チェンソーマン、原作読んでやっと魅力が分かった。ダークでグロテスクな世界観において
ピュアな動物のデンジが主人公となることで、作品全体にカラッとした生き死にの感覚があって、
それがむしろ生を慈しむ感覚を与えている。
だからグチャドロアクションとキャラクターの身も蓋もなさの同居が心地いい

しかしアニメ版はこの二つが同居している感じがせず、むしろ分離している印象がある。
これが一番の違和感。生々しさの演出という意図で映画を意識するのは分かるけど、全体のテンションまで
「シリアスな実写映画」で統一しようとしているのが間違いな気がする。
もっと俗物的で軽いノリがあるべきだろう

ダークな凄惨さが日常化した世界なので、そこを抑制されたテンションで生々しく映すのは分かる。
しかし重要なのは、そうした世界を生きるキャラクターたちの卑近さによる愛しさであって、その極致が
動物的な本能で空気読まずに生きるデンジであり、彼が大ゴマでバーンと闊歩するカタルシスだと思う

こう考えると、アニメ版は力の入れどころが変だという印象がより強くなった。デンジの描写ひとつ取っても、
原作にあるいい意味のアホっぽさは「実写映画的で自然な」会話のやりとりで埋没してしまうし、エロ絡みの
くだりもやたら作画コストをかけてフェチっぽく描くので彼の卑近さよりいやらしさが勝つ

アクションも悪い意味で普通に動く感じになっていて、早い話がもっと快活さがあっていい。
しかも単に格好よくとかヒロイックにとかではなく、むしろシュールさがあった方がいい。原作の「大ゴマでバーン」
に匹敵するカタルシスがないと。
前述の通り、そのカラッと感こそ作品テーマに関わる部分だから