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香港政府、デモ参加者のマスク禁止 多数が激しい抗議

デモが続く香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は4日、デモ参加者のマスクや覆面の着用を禁止する「覆面禁止法」を制定したと発表した。植民地時代の緊急状況規則条例(緊急条例)を発動したもの。これに反発し、同日午後には数万人が抗議行動に参加した。

禁止法が発表された4日午後には、すでに活動家らが反対デモ行進を敢行し、政府への抗議としてマスクの着用を呼びかけた。午後10時の時点で複数の銀行や建物、駅庁舎などがデモ隊に襲撃され、警察は催涙ガスを繰り返し発射した。

14歳少年が脚を撃たれて、重体との情報もある。

香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストに掲載された声明文で警察は、警官が「自分の生命が深刻に脅かされていたため、1回発砲した」ことを認めた。火炎瓶などを持った大勢の抗議者に襲撃されたためとした。ただし、この発砲が誰かに当たったのかは触れていない。
覆面禁止法が発表されると、たちまち市内各地で予定外のデモが始まった。市民の多くは仕事を早退して、抗議に参加した。中にはバリケードを築いて道路をふさいだり、中国国旗を燃やしたり、駅や店舗を襲撃したりする人もいた。
香港地下鉄MTRは同日、5日まで全線を運休すると発表した。広報担当はBBCに対して、これは駅の施設や職員への暴力行為が原因だと話した。現地からの映像では、駅構内で火が燃えている様子が見える。車両が放火されたとの情報もある。

香港市民の多くは4日、徒歩による帰宅を余儀なくされた。
「悪化を放っておけない」
香港では6月から反政府・民主化デモが続いている。参加者はマスクや覆面などで顔を覆い、身元の特定を防いでいる。

中国建国70周年に当たる1日には各地で警察との衝突があり、双方に多数のけが人が出ていた。

林鄭行政長官は、こうした暴力が「香港の街を破壊」していると主張。当局は「悪化し続ける状況を放っておくことはできない」と述べた。

緊急条例の発動により、立法会(議会)の手続きを飛ばし、「覆面禁止法」を制定。5日午前0時に発効する。