順風満帆だった岸田文雄内閣は2022年、安倍晋三元首相の殺害、統一教会の暗部が抉り出されたことで、支持率があれよあれよという間に低下、一気に窮地に追い込まれた。

 最も不本意、呆然としているのは岸田首相その人だろうが、2023年の永田町、起死回生をはかるため、首相が〝令和の高橋是清〟となるべき大物を担ぎ出すのではないかとの憶測もなされている。

 ささやかれているのは、菅義偉前首相を再び官房長官に据えて政権の重石とし、立憲民主党の野田佳彦元首相をしかるべき処遇をして取り込み、立民の分断を図るという目論見だ。

 菅氏は周知のように、安倍晋三氏の後を担いながら、わずか1年で退陣を余儀なくされたが、第2次安倍内閣7年8カ月の全期間、官房長官として政権を支え続けた。鋭い政治的嗅覚と非凡な調整能力で安倍長期政権の原動力といわれた。

 野田氏は、在任中の武器輸出3原則の一部緩和などを断行、自民党の考えに比較的近く、今回の防衛費増額にも理解があるといわれる。国会で安倍追悼演説に立った際は、「勝ちっぱなしはないでしょう、安倍さん」と呼びかけ、泣かせる名調子で国民の心をつかんだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/8e4b7a8cb04755cd21d7fdf832febf89827c04db