米連邦議会下院で、議長選出をめぐる混乱が続くなか、1人の新人議員にも注目が集まっている。経歴などを偽っていたことが発覚した、共和党のジョージ・サントス氏(34、ニューヨーク州)だ。初登院した3日には、同僚議員たちから疎まれたのか、議場で彼のそばに座ったのは自分の子どもたちだけだった。

サントス氏は昨年11月の中間選挙で、ロングアイランドの一部とクイーンズでなる選挙区から下院議員に立候補し、民主党の議席を奪って当選した。しかし12月になって、米紙ニューヨーク・タイムズが経歴詐称について報じた。

虚偽の中身は、大卒ではないのに大卒だと主張していたことのほか、不動産資産のでっちあげ、自らの信仰や家族歴をめぐる混乱に及ぶ。選挙期間中は、金融大手のゴールドマン・サックスやシティグループで勤務していたと述べていたが、12月末に米紙ニューヨーク・ポストに対して「直接勤めたことはない」と認め、「言葉の選び方がよくなかった」と弁明。

先祖がユダヤ人だと偽っていたという非難も出た。これについてサントス氏は、自らはカトリック教徒でありユダヤ人だと主張したことはないが、「母方の家族がユダヤ系(Jewish)だと知り、自分は『ユダヤ人っぽい(Jew-ish)』と言ってしまった」と、ニューヨーク・ポストに話した。

サントス氏は同紙で、他の経歴も大部分がうそだと説明。共和・民主両党から激しい批判を受けている。

しかし、自分は「犯罪者ではない」とし、今回のスキャンダルは下院議員の任期2年を全うすることを妨げないと主張。「私の罪は経歴を脚色したことだ」、「申し訳なく思っている」と、ニューヨーク・ポストの取材で語った。

サントス氏をめぐってはさらにその後、ブラジル当局が、2008年に盗まれた小切手の詐欺事件での捜査を再開する予定だと明らかにした。裁判記録によると、サントス氏はリオデジャネイロ近郊のニテロイ市で、偽名と盗んだ小切手を使って約700ドルを使ったとされる。ブラジル当局はサントス氏の所在を突き止められなかったため、捜査を中断していた。

米連邦と州の当局も、サントス氏の資産や矛盾した説明について調査すると表明している。

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https://www.bbc.com/japanese/64171640