プーチンのロシアと宗教 野田正彰氏(1/2ページ):中外日報
https://www.chugainippoh.co.jp/article/ron-kikou/ron/20221214-001.html

(前略

日本や韓国から侵入してきた統一教会やオウム真理教の被害者家族なども面接していった。

統一教会は国によって教義が違っている。こんな宗教があるのだろうか、しかも政治状況によって。ソ連解体後のロシアは貧しく、日本で行っている霊感商法は使えない。彼らは壺や多宝塔を買わせたり寄付を集金したりするのではなく、原理研究会として勧誘し若い子女を何処かに連れ去っていた。何に使うのか不明なままである。父母にとっては人さらいであり、子どもが突然出ていって何も連絡できなくなる。家族はあらゆる所を回り、子どもを探す。見付けだすと精神鑑定を受けさせた後、16カ月間脱セクトの治療を受けさせることになっていた。ただし家族と支援者の会には精神科医の診療費を出し続ける資金がなく、困っているとのことだった。

私は1980年代中ごろ、統一教会の洗脳システムによって常時サタンの幻覚に脅えるようになり、教会から捨てられた信者の治療に当たったことがあった(『泡だつ妄想共同体』春秋社、93年に、論考「霊感商法と現代人の心」として所収)。その経験から、ゴルバチョフ財団に多額の寄付をしながら、権力の中枢から市民へ下りていく統一教会の戦略に関心をもったのだった。

(後略