熊本の場合ガチで議会にヤクザがいたり襲撃があったりしたから「撃ち殺す」は冗談では済まないのよ

https://web.archive.org/web/20200927194246/https://genshobo.com/archives/5860

 昭和40年(1965)、わたしは熊本市政の担当だった。
 ある日の定例市議会の本会議場。いきなり立ちあがった木下富雄議員が大声をあげた。
「Iの子分が日本刀を持ってオレをたたッ斬ると傍聴席に入っとるぞ!」
 大半の議員が二階傍聴席を見あげ、騒然となった。傍聴席から若い男があわてて走り去るのが見えた。当のI議員は議席にいた。
 パトカーが駆けつけ、傍聴席に残されていた日本刀を包み隠していたと思われる新聞紙を押収していった。
 記者席で取材中のわたしは仰天した。まさか、議場に日本刀!
 木下議員と親しいK議員に尋ねると、「木下さんがあげん言うとならホントじゃろなあ」と言う。
 実は木下、I、Kの三議員ともに、警察は暴力団組長もしくは元組長と認定していた。いずれも表看板は土建会社の社長や役員である。
 その後の捜査でも、この日本刀騒動の真相は明らかにされなかった。