アベノミクスの最大の成果は、雇用の確保だった。筆者は安倍元首相と話す機会が多かったが、マクロ経済政策について、
最低ラインは雇用の確保、その上に所得が高ければいいといつも説明した。
そのために、財政政策と金融政策を使って、GDPギャップを解消しインフレを加速しない失業率(NAIRU)を目指すというシンプルなものだ。
そうしたマクロ経済を表する筆者の基準もシンプルで、雇用の確保が出来れば60点、その上に所得の向上があれば40点を追加して100点満点とするものだ。

アベノミクスでいろいろなことを言う人がおり落第点という人も少なくないが、その評価基準について筆者にはさっぱり分からない。

筆者は大学教授をしているが、学生の評価について、100満点でつける。その評価基準はどこの大学でも同じで予めシラバスで公開しているが、
筆者の場合、授業点(出席点)が50点、定期試験が40点、レポート提出点が10点としている。

この基準では、万が一定期試験が0点であっても、まじめに出席し正しいレポートを提出していれば、60点を取ることができ、及第(60点)となる。

さて、アベノミクスを採点すると、安倍政権での雇用は歴代政権で最高である。雇用は失業率低下と就業者数で測れるが、
安倍政権は400万人以上の就業者数増、1.3%の失業率低下だった。
こうした点から見れば、雇用は60点満点だ。

所得の観点ではどうか。所得は実質GDP成長率で計るが、同時にインフレ率(名目GDPと実質GDPの比であるGDPデフレータ)をみておく。
安倍政権は、実質GDPは0.4%、インフレ率は0.7%であり、高度成長期の歴代政権と比べると見劣りがする。
戦後GDP統計のある鳩山政権以降の31政権において、安倍政権の実質GDP成長率は25位、インフレ率は2%から乖離でみると7位。

いずれにしても、戦後政権での安倍政権のGDPパフォーマンスはほぼ中位であるので、40点満点中20点である。

したがって、安倍政権の評価をすれば、雇用60点、GDP20点で、計80点だ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c6e575d7a79bde7031e2c6b576d396a8dc035e1f?page=2