二つのボールの色は、箱を開ける瞬間まで赤とも白とも決まっていない。赤にも白にもなりうる半々の状態、いわばピンクの状態だ(2)二つの箱を同時に開けると、その瞬間に東京のボールは赤に、ロサンゼルスは白に変化した(3)二つのボールは瞬時に連動するので、同じ色になることはなく、必ず一方が赤で、他方が白になる−。
 そんなばかな! 常識的な人ならそう思うでしょう。箱を開けるまでもなく中のボールの色は決まっているはずです。そして次のように考えるでしょう。
 (1)ボールの色は最初から決まっており、一つは赤で一つは白だった(2)たまたま赤いボールが東京行きの箱に入れられ、白がロサンゼルス行きに入れられた(3)だから東京で箱を開けると赤いボールが入っていて、ロサンゼルスは白だった−と。
 アインシュタイン博士もそう考え、量子力学流の解釈を「不気味」と批判しました。一九三〇年代のことです。その後、論争が続きますが、当時の技術ではどちらが正しいか検証できませんでした。そして、五五年にアインシュタイン博士が亡くなった後、事態は動きます。

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