https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230105/k10013941541000.html

新型コロナ “重症用ベッドほぼ満床” 年明けの医療現場はいま

年明けとなる5日、新型コロナウイルスへの感染が新たに確認された人の数は、西日本を中心に12の県で過去最多となり、全国では22万人を超えました。

都内の大学病院では12月下旬から重症患者のためのベッドがほぼ満床となり、新たな患者の受け入れが難しい状態が続いています。このままではコロナ以外の救急医療にも影響が出かねないとして、現場の医師は危機感を募らせています。

新型コロナと向き合う医療機関の現状は、いまどうなっているのか? 現場の医師にQ&A形式で詳しく聞きました。

都内では新たな重症患者の受け入れ難しい病院も
東京 文京区の日本医科大学付属病院では重症のコロナ患者用に6床を確保していますが、12月下旬からほぼ満床の状態が続いています。
病院によりますと近隣の病院でコロナの院内感染が相次ぎ、重症の患者が回復しても受け入れ先が見つからないということです。

このため、新たな患者の受け入れが難しくなっていて、入院が必要な患者の救急搬送は断らざるをえない状況となっています。

全国の重症者は増加が続いています。
5日時点で650人となり、2000人を超えた「第5波」よりは少ないものの、去年の夏、「第7波」のピークと同じ水準です。
日本医科大学付属病院では、5日、医師たちが防護服を着てドクターカーに乗り込み、病院で受け入れられない患者のもとに直接、診療に出向く様子も見られました。

冬は心筋梗塞や脳卒中などの搬送も多く、これ以上コロナの患者が増えると一般の救急医療にも影響が出かねないとして、現場の医師は危機感を募らせています。
横堀將司高度救命救急センター部長は「正月明けで人の動きも戻り、重症患者の数は今後、増える可能性がある。現場はこれからさらにひっ迫すると考えられるので感染対策はもちろん、ほかのけがや病気で医療を利用せずに済むよう十分注意してほしい」と話しています。
【詳しく】新型コロナ「第8波」重症・救急医療の現状
今後、重症患者の受け入れ体制、そして救急医療へのアクセスはどうなるのか?
日本医科大学付属病院 高度救命救急センターの横堀部長にQ&A形式で詳しく聞きました。(取材日は2023年1月5日)
Q.コロナの医療体制の現状は?
A.12月下旬からコロナの重症患者が急に増え、ほぼ満床の状態が続いています。

周辺の病院でも医師や看護師が感染したり、濃厚接触者になったりして、患者が受け入れられなくなるところが出ています。

私たちの病院に入院して回復したものの、転院先が見つからないので病床が空かないということも起きています。

このため、重症のコロナの患者の救急搬送の依頼があっても断らざるを得ない状況です。
Q.一般の救急への影響は?
A.私たちの病院では重症のコロナ病床を一定数確保するため、その他の患者のための病床は3分の2程度に減らしています。

看護師などのスタッフのやりくりがつかないためです。
幸い、正月は人の動きが少なかったこともあり、コロナ以外の一般の救急患者は少なく何とか乗り切れましたが、例年だと冬には肺炎や心筋梗塞、脳梗塞などの救急搬送が増える傾向があります。

実際に正月が明けた4日から5日にかけては例年並に救急依頼が入っていますし、これから都内に人が戻ってきて経済活動が活発になってきたときに感染者の増加だけでなく、一般の救急患者の数がどう変わるのか注視しないといけません。
Q.第8波、今後の見通しは?
A.年末年始は報告されている患者の数が減っていますが、今後のピークがどれくらいになるのかが心配です。

正月が明けて人の動きが活発になったり、海外との往来が増えたりして、患者が増えてくることも考えられます。

また、いまの感染の広がり方を見てみると、重症患者の数はしばらくは高めが続いていくのではないでしょうか。