埼玉高速鉄道(SR)の延伸事業化について、さいたま市の清水勇人市長は「2023年度にできるだけ早く鉄道事業者へ要請する」との考えを示した。5日の年頭記者会見で述べた。現在のさいたま市が誕生する前の00年に国の審議会が示した延伸の答申から23年。事業化へ、求められる快速運転と沿線開発の具体化を進める。

 市や県が延伸計画を進めるのは、SRの浦和美園駅(緑区)と東武野田線岩槻駅(岩槻区)の区間(7・2キロ)。

 延伸を巡っては国の補助制度適用の目安を満たすため、整備費用に対する効果の比率(費用便益比)は1を超える必要があり、累積黒字転換年(採算性)は30年以内で求められる。目安を満たす前提条件とされるのが、快速運転と延伸区間の沿線開発だ。

 市によると、岩槻―東京・永田町駅間はJRなどを使うより14分短縮される。快速運転でさらに短縮効果が見込まれる。一方、快速運転する列車が普通列車を追い越す駅施設整備を現在、見込んでいない。追い越しによる快速効果を挙げつつ「施設を造れば事業費が上がり、事業性の検討が必要になる。施設がなければ速達性が向上しないというものではない」とする。

 また、市は沿線の人口増へ新駅を中心としたまちづくりの方針案を示し、20~28日に計5回、浦和美園駅や岩槻駅で説明会を開く。

 清水市長は事業赤字への懸念を問われて「前提条件などもつめ、より現実性の高い計画をたて、黒字化の状況が作れる様々な取り組みをしていく」と述べた。
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